畑三年、製茶五年。

これは僕が滞在する農家で言われている言葉です。

農民の手

半世紀以上酷使した腕、深いシワとシミ、変形した指に人生の記憶を感じます

一人前の茶師になるにはまずは畑を三年、その後製茶と五年必要とするということです。
畑の三年と製茶の五年はかぶりませんから合計で言うと八年ですね。

少し付け足すとこれはセンスがあることが条件なので、最短の場合です。
僕の相方は家の茶業を継ぐと決め実家に戻ってきてから丸三年は畑の土以外触らせてもらえなかったそうです。
四年目で初めて製茶に関わることが出来たのだが最初は見ているだけ…。。

つい先日、相方の計らいで東方美人を僕一人で作らせてもらったのだが、この言葉が本当に心に響いた。
僕は大先生の子供ではなく、外から入ってきた者だし、限られた期間の中で色々な事を習得しなければいけないので上にあげた期間は省かれ最初から畑と製茶を並行して勉強させてもらっている。

相方にもよく言われるが限られた期間で勉強する訳だし、相方の方にも受け入れた責任があるのでとにかく出来る限りのことを伝えていくと…
この家に入った時、1年で3年分ぐらいのことを教えていくから…と言われたことを思い出す。。

東方美人を作ってみて感じたことはやはり基本の大切さ。
何事も積み重ねて勉強していくことがやはり重要だと思う、5年程ここで勉強しているがその歳月の少なさを実感したのと同時に大先生に、良いお茶を作る人の傍でずっと見ていればわかるようになる!と言われた言葉、両方がわかったような気がする。

日本に帰国して茶農家になることは考えていないが、
大先生からは「もう烏龍茶は出来るだろ!?」と笑って言われたり、相方からは「失敗することも必要だけど、もっと自信をもってもいい」と言われたりする。。

日本で烏龍茶を生産することはコストや地の利を考えても現実的ではないと常々思っているし、一過性の話題作りの為にするようなこともしたくない。
でも、何らかの形でこの貴重な体験を意欲のある茶農家さんに伝えていけないかと思う今日この頃です。

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