昨日で無事に春茶が終わり今日から東方美人に向けて畑の管理に入っています。

畑に関して書くこと、報告することは沢山あるのですが、今回はその話題ではなく春茶最終日の個人的な出来事を…。

殺青機

殺青機の中で炒られる生葉、とても重要な行程です

春茶最終日は知り合いから製茶を頼まれたり、自分達のものは雨にうたれたりと…なかなか難しく色々な対応が迫られるものでした。
その為に茶葉を三つのグループにわけ進めていったのですが、二つ目のグループの殺青の際に、相方がいない為に大先生と僕、二人ですることに。

台湾茶をこの農家で勉強するようになってから5年目、実は大先生と二人で殺青をするのは初めてです。

大先生

5年目にして初めて大先生と二人での殺青作業、やっとここまでこれた感があります

殺青というと、茶葉に火(熱)を入れて生葉の変化をとめる作業ですが、実は烏龍茶にとって凄く凄く…それはとても凄く大事な作業であります。

品種や茶葉の状態、大きさ、厚さ…など色々な条件によって火を入れる温度や時間が変わります。
昨日はおおむね8分前後で推移していましたが、降ろすタイミングが5秒違えば印象はかわるし、10秒違えば全く違うものになってきます。

同じ量をいれても、全て同じ葉ではありませんから、いれる度に細かい調整などが入り降ろす時間も全くかわってきます。
それを葉が炒られている音、触った感触、変わっていく香りなどを判断し適切なタイミングを見極めるわけです。

簡単に言えばここで失敗してしまうと、この前の工程で生葉の水分を出し、茶の成分が変化し烏龍の味や香りが形成される条件が整っていても全て台無しになるわけです。

普段相方と作業する際もこの殺青の工程は僕が担当します。
ですから日々と変わらない作業ですが、やはり僕はまだまだ経験が浅い部分が多いのも確かです。

また、この工程を理解する為に色々質問などもしてきましたが、香りや葉を触った感触を口、言葉で説明されてもそこは人によって印象が違うので数学のような正解を導けるものでもありません。

わかりやすく言うと、よく台湾茶の世界では果物の熟した香りなどといった表現を良く見かけます。
しかし、元々暑い国でフルーツが沢山あり、木の上で熟したものを刈り取ってすぐに食べてきた人と、青い時に刈り取られ何日もかけて熟したものを食べてきた日本人が感じる感覚・印象は若干違います。

台湾の果物

台湾のフルーツ屋さん♪日本と台湾では同じものでも印象が違います

殺青の作業工程も同じで香りの変化を説明されても、僕がそれを認識できているかどうかというのはわかりかねない部分があります。
このような部分はとにかく、確認を繰り返して解決していくしかありません。

ということで…
普段相方と作業をする時も僕のタイミングですが、先生はそれを知らないので直訴して、僕のタイミングで降ろすからそこで問題があれば指摘してください。と伝え作業をすることに。

僕のタイミングで降ろしてOKがもらえれば、僕なりに感じて判断している部分は問題ないとなる。

ずっとこのような1対1で確認しながら作業が出来る日を願っていたのだがタイミングもなく、本当に運良く巡ってきました。
以前もこのような状況はあったのですが、その時は先生が一人で作業していたし、一緒に作業するにしても「一緒にやってみる?」と言うようにしか言われませんでした。

今回は「手伝って!殺青するから来て。」と言われ、正直ビックリした。
石の上にも三年という言葉があるが、実際相方も農家を継ごうと家に戻ってから3年間は土以外何も触らせてもらえず、製茶工程は見ているだけだったそうである。
人望も厚く優しい大先生だがことお茶に関しては自分で観察して考えて気づきなさい!というのが基本スタンスである。

僕は勉強で来ているので最初から色々な工程の手伝いをし、勉強をしているが、最近相方が留守の時にこうして大先生と一緒に仕事をすることもたまにあり、それを自然に受け入れてくれているのもあり、今回の言葉はとても嬉しかった。

さて、実際の殺青作業ですが、おおむね僕のタイミング・感覚は間違っていなかったことがわかり安心した。
しかし、やはり全てを完璧にこなせる訳ではないので、問題が出た場合には葉を手にとり色々と説明を受けたりそこから派生して色々な話を聞けとても勉強になりました。

汗

釜の中に手をいれたり、目の前で熱い空気を浴びるのですぐに汗だくです

その後夜に第三グループの殺青作業をいつも通り相方と。

昼間に言われた部分などを意識してやったわけだがいつもより注文も少なく比較的安定した作業を行えた。
前日朝10時からの作業で仮眠は3時間だけ、40時間ぐらいの作業になった大変な日でしたが、気持ち的に凄く充実した日となりました。

【一緒に読みたい関連記事】