春茶もラストスパート。

去年1年の異常気象に比べたら少しは持ち直したが、やはり去年からひきずっている感があるのもいなめない。。

冬茶のような

今年の春茶は天気の関係で冬茶のような葉に育ちました

日本の関係者から聞き、日本も同じような状況らしいが、台湾の今年の春は以外と寒い日が続いた。
昼間はそこそこ温度が上がるのだが、夜になると急に冷え込む。
寒暖の差が普段の年より激しく、故に葉の生長が遅く、冬茶のような葉に育っていた。

この葉の状態はとてもいいのだが、天気自体が通年通りの動きをしてくれないのは困る。
特に台湾の農家では農歴に沿って動いていくので、その流れで畑の作業が進行していかないと「ん~…」といった感じになる。
そして今年の春の特徴としてスコールのような雨が多い。
これは台湾全土ではないかもしれないが、僕が滞在している桃園がそうであるとなると、同じ低地の東方美人の産地である新竹や苗栗も同じような感じになっているだろう。

烏龍茶において雨というものは本当に厄介でならない。
雨が降ることで大気中の湿度や温度が変化するだけで、その対応が迫られる。

雨にうたれた葉

かけにでたが失敗、通り雨にやられました…今度はこの葉でどこまでいけるのか切り替えて

今日も日光萎凋(いちょう)をしている最中にスコールではないが通り雨にやれた。
烏龍茶は葉の中の水分をどんどん出していくことで製品に近づいていくので、この萎凋時に雨にやれるのは根本的な流れが崩れるし、出来上がる製品も全く異なってしまう。

一瞬の通り雨の後はまた持ち直し、太陽が出たり曇ったり…

怪しい空の色

通り雨の後も怪しい雲行きが続きましたが、ぎりぎりまで我慢

正直、日光萎凋をする前からこの天気大丈夫かな?という部分はあったが…やはり良いものに仕上げる為には日光にあてたい、危険を承知でのことでしたが…

実際このような天気だと外に出さずに室内にいれる農家はわりと多い。
でも、うちではどちらかというとお茶に対して攻めていく方だと思う。

安全策、守りより多少リスクがあっても良い可能性がある方へある方へ動くことが多いように感じる。
それは圧倒的な畑管理や製茶技術がの基礎があってこそだと思うが、僕はこの姿勢がとても好きだ。

日によって生葉の状態は全く違う、気候も品種も…全てが違うといってもいいでしょう。
その中で常にその葉のもつ良い部分を出していこうと毎回ギリギリまで試行錯誤することは1回だけみたら大差はないが、何十回、何百回、何十年となればそこには大きな差が生まれる筈である。

僕が住込みでいる農家は文山でも木柵でも凍頂でも高山地区でもない。
地域のブランドがない。
東方美人の産地ではあるが、皆が皆東方美人は新竹という中でうちの地域は本で産地にすら載らない。

殺青の秘密

お見せはできないが日々の作業の中でも試行錯誤が沢山あります

そんな圧倒的に不利な状態で生き残っていくのには、やはり技術しかない。
話題だけをつくる一過性のものではなく、常に高いレベルのものを作り上げること。

普通クラスのものが悪いとは言わないが、うちで量産型の工場と同じものを作っていたら農家を続けられないのは明白だ。。

自分達の意志だけでなく、周りの環境からもそうなってしまっているのだが…
周りの茶畑がどんどんなくなっていく中で、ここの農家が少しずつ広げていっている理由が、作業を共にしてなんとなくわかったような気がする最近でした。。

【一緒に読みたい関連記事】