春茶がスタートしましたがその前に東方美人の話を。

簡単な拝見ですが、何年も農家で勉強している中で、一般の烏龍茶よりも東方美人の判断は凄く難しいものだなと感じています。

一般の方にはなかなかわからない部分も多いです、しかし比べてみるとある程度わかります。

東方美人の茶葉

三種類の東方美人、違いがわかりますか?

向かって
左:僕が取り扱っている東方美人
中:新興茶区の東方美人①
右:新興茶区の東方美人②(①より倍ぐらいの値段)
右二つは僕が滞在する農家のものではなく、台北のお店でサンプルになればと市場価格とそれより若干高めのものを少量買ったものです。

まず形状と茶葉の乾燥度に違いがあります。
ここでは、実際にウンカの被害がどれだけ出ているのか想像ができます。

次に茶葉の色味ですが、これは一概にいえません。
しかし、日本に入るものは一番右の少し赤みがあり一見、見た目の綺麗な色のものが多いですね。

東方美人の抽出

お湯をいれてみると茶葉の大きさや香り…色々と表れてきます

次にお湯を淹れます。
上は実際にお湯をいれた状態、順番は上と一緒。

どうでしょうか?
外観ではあまり大差がないように見えますが、実際の葉の大きさはかなり異なります。

東方美人の葉

葉の大きさ、違いがだいぶありますね

次にそれぞれの葉の大きさ。
これも順番通りです。
東方美人は葉が小さいイメージがあると思います。
それは小さい葉を摘んでいるからではなく、ウンカの害によってそれ以上成長できなくなる部分が大きいんです。
ですから右二つはウンカの害はあるかもしれませんが、成長を妨げられるような被害ではないということですね。

東方美人の水色の違い

つけ込むと水色の違いが一目でわかります、お店ではなかなかわかりません

最後に水色。
この違いどうでしょうか?
左が正常の東方美人、真ん中は少しいきすぎ、右は更にいきすぎです…。

真ん中のものは撹拌でうまくいかず、葉によるバラつきがかなりあります、右のものも同じですがこちらの方が葉のバラつきは少ない感じです。
しかし一番右は既に紅茶の域に達しています。

何故右二つがこのような水色になるのか…。
そこには東方美人の製茶の難しさやウンカの害の少なさが少なからず影響しています。
東方美人の特徴である蜜香の判断も難しく、恐らく多くの方が右二つを試飲したらそのまま買っていくでしょう。
僕の中では左が東方美人、右二つが製法を真似しただけの製法美人。

これはお世話になっている日本の茶業関係者の方ともお話しましたが、多くの方が蜜香と製茶のミスから出てくるものを勘違いしているのではと推測しています。
そして、香りもややこしい。。
茶葉が酸化(一般的には発酵と言われます)していくとやはりその香りも出てきます。
烏龍茶の域から紅茶にだんだんと近づくわけですが、その香りの強さを東方美人の香りだと勘違いされている方も多くいると思います…。

こうして比べてみるとわかりやすいものですが、実際に単品で出てきた時の判断は一般の方には難しいものです。
文章だけで伝えるのはかなり難しさを感じますが、特にこの一年東方美人に関してはかなりの問題(店舗・農家)を感じていますので、出来るだけ多くの情報を出していこうと思っています。

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