昨日から手掛けている一人での東方美人作り。

実際には相方に色々とアドバイスをもらい、茶葉に触れるのは僕だけという形で作業を進めている。

撹拌後

一度目の撹拌を終え茶葉を再度広げていく

しかし…大変な製茶となっている。
実は使っている茶葉は昨日だけのものではなく、その前日の夕方に摘んだものも含まれている。
細かくわけると
①前日の夕方摘み
②当日の午前摘み
③当日の午後摘み

この3つを一つにまとめて作っている、これは烏龍の特徴を理解している方ならどれだけ難しい作業工程になるのかはわかると思う。
烏龍でも東方美人でもまず第一に葉内の水分を抜くことが大事な作業になる。
ただでさえ均一に抜くことは難しい、今回のものは前日のものも含まれ普通に考えてもその葉は当日に摘まれたものより水分は多く抜けている…。

大きな葉

緑色の濃い大きめの葉も目立ちますね、茶摘みのおばちゃん…

そしてもう一つ困ったのが大きい葉がわりと多いこと。
実は茶摘みをしてくれたおばさんに少しわけることを約束していた為、そのおばさんが自分用にかなり大きな葉を摘んだことが原因(笑)
おばさんは僕のロットとおばさん分をわけて作ると考えていたみたいだが、茶葉をコントロールするにはある程度まとまった量が必要なので結局一緒になってしまった…

正直僕も人間です、普段はわりと温厚な方だと思いますがこの時は…
「おまえ、マジで…。。」
と思いました、言葉は悪いが良品を常に作ろうと思っている方なら普通に思うことだと思います。。

ただ、この大きな葉は製茶後におばさん分をあげた後、手作業で取り除くので無視して作業を進める。。

この三つの葉を混ぜて同時に水分を抜く作業、ここに東方美人独特の世界観があると思います。
普通に考えたらそれぞれ葉の大きさ、摘み取った時間が違うものを一つにすることは有り得ないし、茶の世界では製品の均一性というものは大事なので理解できることではない。
では、どのようにしてこの三つの水分の抜け方を整えていくかというと…

雰囲気です。。
全く伝わらないと思います、そして伝わらなくていいことだと思っています。
少し説明すると混ぜることにより葉一枚一枚がお互いの存在に気づき近づこうとする雰囲気を作ること。

茶葉の雰囲気

あえてこのようにして茶葉にお互いの雰囲気を感じてもらい近づいてもらいます

これは人間の目には見えない世界だが、葉から水分が抜けるということはその表面のミリ、ミクロ単位で葉のまわりの湿度はあがる筈である。
大きな葉は水分を多く保っている為自分のペースで水をだしていく筈である、逆に水分が先に抜けた葉は水脈も縮まり水の出が少なくなっており、尚且つ大きな葉の影響で多少湿度があがる為水分の出るスピードは極端におちる、両者からでる水分の量はかわる筈である!というイメージから来ています。。
そして様子を見ながらそこにまた微調整をかけていく。

最終的に三つの葉の変化がピッタリと合うことはないのだが、近くまでいきその小さな差が複雑な香りと味を作り出す!筈である。。

という、普通の烏龍茶作りでは考えられない世界観がある。
言葉で書いても実際に生で現場を見てもプロの方でもこの状況はつかみづらいのだが実際に腕の良い方はこのへんの計算までしているものである。

そんなこんなでかなり苦戦しましたが、先程無事乾燥まで終えて完成しました。
出来上がりはまた後日ご報告したいと思います。

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