本日は2010年冬の青心烏龍、重発酵、重焙煎のテイスティング。

青心烏龍という品種は台湾の北では坪林に代表される文山包種茶を作る品種、南では凍頂山一帯で作られる凍頂烏龍茶を作る品種でもある。

今回取り上げるものはこの両地域とは全く関係のない土地のもの。

青心烏龍の茶葉

青心烏龍の茶葉

青心烏龍の水色

青心烏龍の水色

まず茶葉は手摘みを綺麗な球状にまとめあげている。
この作業に時間がかかることを知っている僕としては、よくここまで仕上げたなと思う。とても骨の折れる作業だが丸めても丸めなくても味自体は変わらない。
ただ台湾国内ではこの丸まった球状の方が何故か評価が高い、茶業者がこのような形を好むのはとてもわかる。
運ぶ際に小さくまとまるし、砕けて粉になる部分も少ない、保存をする際にも空気を抜きやすいなのどの利点は色々とある。ただ消費者が好む理由はよくわからない…
見た目が綺麗なのはわかるが…、恐らく丸いものが普通であった為そういうものだという考えが一般的になったのだと思う。

青心烏龍

凍頂烏龍茶とは違う魅力を持つ他地域で作られた青心烏龍の烏龍茶

早速見ていきましょう。
水色は写真で見るよりも若干薄めで黄色というより黄金色に近い。
茶葉はとてもよく熟したものを使っている。
日本茶や紅茶と違い、台湾における烏龍茶では熟した葉が良いとされるので、素材はとてもいいものを使っている。

焙煎は重焙煎に入るが発酵は中発酵~重発酵の間ぐらい、くくり的には重発酵に入るかな。
だから飲んだ時に青心烏龍の香りはあるがずっしりとした重みというのはちょっと少ない、香りがあるが少し軽いイメージがある。
このように伝えると良いお茶ではないのでは?とイメージする方がいるとは思うが少し違う。
発酵を重発酵の域でもかなり重いところまで持っていかずに止めることで香りを持ちつつ従来のものより軽く仕上げているのだろう。

焙煎は重焙煎になるがよく見かける焙煎香がきつくついたものではなく、完全に透き通っている。
これは焙煎を理解し、丁寧にかけている証拠。
凍頂烏龍では焙煎機の違いなどもあるが、少し焙煎香が聞いたものが多い、それとは全く異なる烏龍茶だ。

しかし、重焙煎をかける場合、焙煎に負けない味と香りが必要になり、重発酵まで持っていくのが普通だがこれはそこまで行っていない。
それでも、こうして香りを保ち、味もしっかりしているものを作れるのはやはり畑の管理から製茶、焙煎までしっかりと理解している方が作っているというのがうかがえる。

青心烏龍を楽しむのに、文山包種茶や凍頂烏龍を探すのもいいが、このように違う地域でも名品は作られる。
このようなものは日本にはあまり出回らないので是非台湾茶好きの方には飲んで頂きたい。

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