静岡の山間地に出向いた際に関心したことがあったので記事にしてみようと思う。

これはお茶を作る作らないとかそういうことではなく、人間として感心し、正しい対応をして頂けたことに関する感謝のブログでもあります。

静岡の紅茶

紅茶の第一人者とされる方の元へ、烏龍などを試飲させて頂き色々と話し合う、とても勉強熱心な方でした♪


製茶が延期になり勉強会として進めた8日の紅茶・烏龍茶作り。
実はその帰りに日本の紅茶生産の第一人者と呼ばれている方を紹介され、家まで訪ねた。
勿論初めての面会である。

長年日本で紅茶を作ってきた方だが、最近烏龍茶も作り始めている。
簡単に自己紹介をした後に作った烏龍を飲んで欲しいとのことなので頂いた。

しかし飲む前に
「これは烏龍とは呼べるレベルではないし、だから売ることも考えていない」
ということを言われた、それを聞いた上でのテイスティング。
適当な烏龍や紅茶を売る方が多い中で、自分の製品に対してこのようなことがいえる方というのは現代では本当に稀だと思う。

実績もあり、勿論僕よりも年上、親父よりも年上の大先輩だ。
しかし、烏龍にはやはり欠点があった。
他の方は気づかないかもしれない、気づいても言えないかもしれないと…頭をよぎる。。

このような時、正直に伝えるべきかどうか迷うものである。
実際に問題を指摘して相手の気分を害したらそこで関係は終わるであろう…でも、もうそこは割り切っている。
ちゃんと勉強をしてよいものを求めている方ならそのようなことにはならないだろうという自分なりの考えもあり、問題点をズバリ言わせて頂いた。

製茶上の問題点と烏龍を考える際に知っておいて欲しいことを伝えた。
感心させられたのは大先輩にもかかわらずちゃんと僕の意見に耳を傾けてくれたこと。
そして指摘された部分に対して思い当たるふしがあると…。。

正直意外な反応でした。
凄く嫌な反応が返ってくるのかと思っていたのだが、聞き入れ、問題を解決しようとさらに質問を投げかけてくれた。
それに対して僕の意見、考えを伝えていく。
最後には僕のことを「先生」と呼び始め僕が「その呼び方やめて下さい(笑)」と。。

僕は烏龍のことは日本の方よりも知っている部分は多い、だからといって僕に頭をさげろ!なんて思っていないし、いばるつもりもないし、必要もないと思っている。
これは僕がどうこうではなく、相手が自分よりも多くの知識をもっていてアドバイス等と頂けるならリスペクトする部分は絶対に必要だと思っている。
僕も日本の茶農家さんにいけば知らないことが多いので「宜しくお願いします、勉強させて下さい」と一言言うことを心がけている。

向上心があり、素直に良いお茶を作りたいと思っているなら自然に出てくるものなのだが実際多くはいない。
台湾で色々な方と知り合い、日本で烏龍を作るのに一番問題なのは…驚くかもしれないが、日本の農家さんの頭を下げられないプライドだと僕は言われている。

台湾へは日本の茶業関係者の方がたまにこられて工場内の機械を見て帰ったりするが多くは
「え?これで作ってるの?わかったわかった…」
ぐらいの言葉で帰ってしまうことが多いそうだ…。

日本の蒸し製の緑茶は本当に素晴らしい技術であり、これは本当に日本人にしかできないものだと思う。
だからといって烏龍や紅茶が劣っている訳ではない。
機械化が進んでいるいない、国が発展しているしてない…ではなく、そのお茶に対して根本から学ぶ姿勢というのは大事だと僕は思っている。

今回静岡でお会いした方はそのような姿勢をちゃんともっている。
製茶人ではなく一人の人間として相手に対してこのような態度をとれる人は本当に尊敬に値する。

まだ納得できる烏龍は出来ないかもしれない。
でも、はじめからうまく出来る人はいないし、そしてこのような姿勢でお茶と向き合える方なら他の方よりも進歩は早い筈で、それに対して僕も応援したいと心から思う。

また良い人に巡り逢えたなと思う一瞬でした。

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