帰国は恐らく9月の10日前あたりになると思うが、荷物の整理などを着々と進めている。

自分の荷物は勿論、僕の部屋は元々お茶の倉庫として使っていた場所で入る前にドアを外したりと色々としているのでそれも元の状態に戻したりしている。

十大傑出専業農民

十大傑出専業農民(全国版)、昔の奨は使っている木も贅沢で良い香りがします


そのドアを戻す際に一緒に物置の中から出てきたのがこちら。
李登輝が台湾の総統をしていた頃に大先生が受賞した十代傑出専業農民の奨。

これは日本で例えると天皇から奨を頂くようなものに近いものだと思う。
この奨は農業の実績に加え、難しい筆記テストをクリアーした人の中から選ばれた人だけが貰えるものである。

以前このテストの内容を聞いた事があるのだがそれはそれは難しいらしい。
例えば鳥が樹に卵を産み雛を育てる質問など…
おおまかな質問ではなく時期や雛が巣立つまでの限定の間の事など事細かにきかれるらしい。

お茶をうまく作れ、品評会などで毎年特等奨をとっていてももらえるものではない。
特定の作物ではなく、他の作物や動物からわかる天気やその情報、つまり農民としての深く幅広い知識が必要とされるものだ。
大先生は茶農家として初めてこの奨を頂いた方である。

十大傑出専業農民2

十大傑出専業農民奨(恐らく縣版)


それが物置の中で他の山ほどある奨と一緒に重ねられている…(笑)
中華圏では見栄の文化などもあり、このようなものはたいてい人目のつくところに飾ってあるものだ、日本人からして見ても飾ったらいいのに…と思う方が殆どだろう。

僕はこの大先生の性格が好きなのだが…
このような奨を商売道具にせずにひたむきに良いものを作り続けてきた姿勢はとても尊敬する。

最近特等奨などのものは家に飾ったりはしているが、これも元々は日本の知り合いの方から飾らないとダメ!と怒られてからのこと…しかし極一部。

以前にも書いた事があるが、
「賞状はいらない。人民の為にお茶を作っているのだから」というのが大先生のお言葉で飾らない理由もここにある。

物置には他にも沢山の奨が山積みになっている。
もうなくなってしまった競技会だが、以前製茶の全国大会なるものがあった。
これは全国から選ばれた人だけが参加でき、用意された茶葉をその場で烏龍茶に仕上げていくという一発勝負の競技会。
この初めての全国大会で優勝したのも大先生でその奨のものなども…。

物置を整理しているとこの家の歴史を知る事が出来るのだが…
ここに通い、住み込んで「茶」に関して多くの事を学んだが、それと同時に仕事に向き合う姿勢というものも勉強させてもらったような気がする。

【一緒に読みたい関連記事】