本日は旧暦(農歴)の7月15日、中元節。
中元節とは日本のお盆の由来の一つである「盂蘭盆(うらぼん)」と台湾(中華圏)の道教信仰などが合わさったものである。
日本のお盆は先祖の霊を供養するものである。
しかし台湾の「中元節」というものは先祖の霊だけでなく、この世に子孫のいなくなった霊や無縁仏になった方達など亡くなった方全ての方を供養するものである、そしてこのような行為をする事で善を積むとされている。
という事で…
このような日はほぼ仕事はない。
お昼過ぎに相方と近くの日本で言う神社のような場所へ向かう。
前日に処理した家で飼っていたアヒル、そして豚など料理を捧げ、そして香をたく。
勿論僕もここでお世話になっているので一緒に香などをあげてきた。
そして夕方からは家の前へ大きなテーブルを出し、またまたアヒルや豚肉、そして果物、お菓子、お酒やお茶などの飲み物類を飾る。
昔はほぼ家で作った料理などを並べたらしいが、それは台湾が貧しい時代だった頃のこと。
昔はスーパーなども多くなく、近くにない方が多かったのでそのようなお供えものだったという。
現在は豊かになりものもあふれているのでスーパーで買ったものだけで済ませる方は多い。
うちは農家であるし、家畜なども買っているので家で育てたものと買ってきたもの両方が混在している。
同時に香をたき祈りをし、そして家のまわりにその香を1本1本たてていく。
これは亡くなった方が家で食事をして下さるようにする為の家への道しるべでもある。
その後香が消えるのを待って、紙で出来た亡くなった方があちらの世界で使うお金を家の前で燃やしていく。
台湾で「いいなぁ…」と思う事は幾つかあるのだが一つがこのような昔からの行事を大切にする事。
幾ら国が豊かになってもこのような行事がちゃんと執り行われる、それは仕事を中断しても行われるという事は凄いなと思う。
昼間町へ出ても役所や銀行の前でも制服を来た方が仕事の合間に同じような行為をしている。
日本では仕事というものは一番であり、大事な行事があっても仕事があればそちらを優先したりする。
しかし、台湾ではそれが逆になる。
仕事をしてお金を得て生活する事は当たり前の事ではあるのだが、このような昔から続く民族的な行事を大切にする事は僕個人的には凄く良い事だと思う。
中華圏の方は商売もうまく金に執着するイメージを持つ方も多いと思うのだが、台湾人においては日本人より慈悲深いと感じる事が多々ある。
このような一見宗教の信仰じみた事を言うのは好きではないし、そこには人それぞれ考えがあるので自分が強要されるのも好きではないのだが…
昔からの行事や祖先やその他の方までいたわり、思いやれる心やその行事を大切にし後世に伝えていくという事は人間の本質として大事な部分なのではないのかな?と思う。