美味しいお茶は製茶以前に畑作りから。

そして畑作りの前に土作り、茶樹の植え込みからです。

今回は各茶農家の茶樹の植え込みに対する捉え方の違いから味を追求します。

茶樹の根
ここ何日か畑の作業で茶樹の植え込みや植え替えをしています。
基本的にはこのように根が小さくまとまった苗木から少し成長したものを使います、これは台湾のどこの茶農家へ行っても変わりません。

成長した茶樹の根
一方で、僕がいる農家では前年の植え替えに余ったものを茶畑の横で育て、このように根が広がったものを移植したりもします。

凄く面白い話ですが、この根が広がりある程度成長した茶樹を周りの農家さんが見ると

「そんなに大きな茶樹を移し替えたら絶対に土に馴染まずに枯れる」

と笑いながら言われます。
実際に周りの農家さんは同じようなことをしてことごとく失敗しています。

でも、うちの場合はそのようなケースは殆どありません。

では、どこで違いが出てくるのでしょうか?

実は周りの農家さんは単純に穴を掘り自分が管理しやすいように茶樹を植え込んでいく場合が殆ど。

うちの場合はまず穴を掘り、左右の茶樹の枝を確認し、何十本もある中からその場所に適した茶樹を選びます。
その後穴の深さや幅の調整、根の伸びて欲しい方向へ根を誘導するような形で土に植え込みます。
そして、左右の茶樹から太陽の光が遮られないかなど…とにかくチェック項目が細かくあります。

ただ単に茶樹を植えるのではなく、成長していく過程を考えそれに適した形で植え込んでいくわけですね。

そうすると他の多くの農家の方が言われるように枯れたりすることは滅多にありません。

他の農家は茶樹を最初から人間の手でコントロールしようとしますが、うちの場合はまず1本1本の特性と周りの環境を見て、どのようにしたらこの茶樹の本来持っている力が最大限に生きるかという部分を見てそれをいかす方法から考えていきます。

以前のブログで僕が滞在している農家の畑の管理は台湾でも数えるうちに入ると思う!
と書いたことがあります。

うちでは茶樹1本の植え込み、生態系を理解しそれを利用した土壌・畑の管理、そして製茶技術と焙煎技術、それぞれの工程において明確な理論・理由があり、その1つ1つがパズルのピースのように完璧に噛み合い最終的に1つの烏龍茶が完成されます。

以前うちと同じような考えをもつ農家さんに出会いその方の作った四季春茶を飲みましたが
「はい!文句ありません、うますぎです。。」
というレベルのものでした。

実は土作りから製茶まで一貫した理論、聞くと何処の農家でもどやっ!顔で話してはくれますが、それぞれの工程に対して明確な意図・概念がなく単なる製茶工程における作業として捉えている事が多い為、後付けの自分都合の理論でゴリ押しになり話の途中で矛盾点が多く出てきて収集がつかなくなります、笑。

このような方の烏龍茶はわりと味がぼやけて、作る度に味の差があり、安定しません。

ですから高いレベルの烏龍茶を生み出す茶農家とそうでない茶農家は最初の植え込みの時点で既に差ができてしまっています。

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